愛着スタイルは大きく4つのタイプに分類されます。
幼少期の親子関係や育った環境に影響を受け、人との「つながり方」や「距離のとり方」に無意識の傾向が表れるとされています。
- 🔹 安定型(Secure) … 自分にも他人にも信頼を持ちやすいタイプ
- 🔹 不安型(Anxious) … 愛されることに強い不安や執着を抱きやすいタイプ
- 🔹 回避型(Avoidant) … 相手との距離をとることで自分を守ろうとするタイプ
- 🔹 混合型(Fearful-Avoidant) … 愛情と恐れが入り混じり、混乱しやすいタイプ
▼ 目次
揺れる心と矛盾した行動 ― 混合型愛着スタイルの特徴
――「近づきたいのに、怖くなる」そんな相反する気持ちを抱えるタイプ
混合型愛着スタイル(Fearful-Avoidant)は、不安型と回避型の両方の特徴をあわせ持つ愛着スタイルです。「親密になりたい」という願いと「傷つくのが怖い」という恐れの間で揺れ動き、矛盾した行動をとってしまうことがあります。
文献や研究によっては「恐れ回避型」「不安×回避ミックス型」「未分類型」「無秩序・無方向型」「Disorganized(幼少期の分類)」などと呼ばれることもあり、その複雑さゆえに分類が難しいタイプともいわれています。
恋愛・人間関係で表れやすいパターン
混合型の人は、「求めているのに、拒んでしまう」という矛盾を抱えやすく、相手を混乱させたり、自分自身も深く傷ついたりすることがあります。
- 寂しさや不安から近づこうとするが、親密になると一気に怖くなり距離をとる
- 愛されたい欲求が強いが、信じられずに試すような行動をしてしまう
- 関係に夢中になったかと思えば、急に冷めたように突き放してしまう
- 「どうせ捨てられる」と思い込み、自分から関係を壊そうとする
- 相手との関係が安定すると、逆に不安になる
このようなパターンは、本人にとってもコントロールが難しく、恋愛関係で大きなジレンマや自己嫌悪を生むことがあります。
形成される背景
混合型愛着スタイルは、幼少期の矛盾した養育環境やトラウマ体験によって形成されることが多いとされています。たとえば:
- 保護者が「優しい」ときと「怖い」ときの差が激しかった
- 愛情を求めると同時に拒絶された体験がある
- 安心できる存在だと思っていた人から傷つけられた
- 家庭内にDV、モラハラ、ネグレクトなどの不安定要素があった
このような環境の中で育つと、「人は信じたいけど、信じると危険」というアンビバレントな信念が根づきやすくなります。
恋愛におけるパターン
混合型の人は、恋愛関係になると「近づきたい」「でも怖い」という矛盾した感情が激しく現れやすくなります。
このジレンマが強まると、相手を試すような行動をとったり、突然冷たくなったり、逆に執着的になったりと、一貫性のない態度として表れてしまうことがあります。
恋愛で見られやすい行動例:
- 「大好き」と思った直後に「もういい」と思ってしまう
- 愛されたい気持ちが強いのに、相手を拒絶してしまう
- 少しの変化で「見捨てられた」と感じ、極端な反応をしてしまう
- 「ちゃんと向き合ってほしい」と思いながら、自分は逃げたくなる
- 相手が安定して接してくれると、逆に落ち着かなくなる
これらは愛されたい気持ちの裏返しであり、「怖い」と感じるほど、実は強く求めている証でもあります。
パートナーが混合型の場合は?
相手が混合型愛着スタイルの傾向を持っていると、「言動が読めない」「距離感がつかめない」と感じて困惑することがあるかもしれません。
しかし、混合型の人は矛盾しているように見えて、心の奥では“つながりたい”という切実な思いを抱えていることが多くあります。
以下のような接し方が、信頼関係を築く助けになります:
- 相手の揺れる態度に振り回されすぎず、「今は不安なのかも」と一歩引いて見る
- 突然の拒絶や試し行動に、感情的に反応しすぎない
- 「好きだけど怖い」という矛盾を否定せず、理解しようとする姿勢を見せる
- 一定のペースで関わり、予測可能な安心感を伝える
- 相手が心を開きやすい環境(責めない・急かさない)をつくる
- 暴言・暴力・支配的な行動が見られる場合は、愛着の問題だけでなく、パーソナリティ障害やトラウマの影響が絡んでいる可能性があるため、慎重な対応が必要です
混合型の人との関係性は、理解と根気が必要ですが、時間をかけて育むことで信頼が深まる可能性があります。
補足:混合型とモラハラ・DV傾向との関連について
混合型の愛着スタイルは、恋愛における強い感情の揺れから、相手を傷つけたり、コントロールしようとする行動につながることがあります。
たとえば、見捨てられそうになると不安や怒りが爆発し、暴言・無視・束縛・暴力といった形で相手を試す・支配する行動に出てしまうこともあります。
こうした反応の背景には、混合型の愛着傾向だけでなく、未処理のトラウマや発達特性、パーソナリティの問題が複雑に絡んでいるケースも少なくありません。
特にカウンセリング現場では、以下のような心理的・発達的傾向が、DV(ドメスティックバイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)につながる要因として共に見られることがあります:
- 自己愛性パーソナリティ障害:自分を特別視し、他者への共感に乏しく、支配的・攻撃的になりやすい傾向があります。
- 境界性パーソナリティ障害:見捨てられ不安から感情が激しく揺れ、極端な行動に出ることがあります。
- 間欠爆発症:突発的な怒りの爆発によって攻撃的な行動に出る発達特性です。
- ASD(自閉スペクトラム症):相手の気持ちを汲み取りにくく、関係性の中で誤解や摩擦が起こりやすいことがあります。
- ADHD(注意欠如・多動症):衝動性や感情のコントロールの難しさが、トラブルを招くことがあります。
- 愛着障害:親密さに対する過度な恐れや不信感から、極端な行動に出る傾向があります。
もちろん、これらの傾向を持つ人がすべてDVやモラハラを起こすわけではありません。ただ、「なぜ自分(あるいは相手)はこうなるのか」を理解しようとする視点は、関係改善や自分を守るうえでも重要な手がかりになります。
もし恋愛関係の中で「相手の態度に振り回される」「感情が抑えられない」と感じている場合、単なる性格や“相性の問題”ではなく、心の安全や過去の傷つきが影響している可能性があります。
本人・相手いずれの場合も、責めるのではなく、構造を理解することが関係改善の第一歩になります。
混合型の場合に役立つ視点
混合型の傾向を持つ人は、自分自身でも「なぜこうなるのかわからない」「コントロールできない」と感じやすいかもしれません。
でも、まずはその葛藤に気づくことが回復の第一歩です。
- 「近づきたいけど怖い」という矛盾を責めずに観察してみる
- 感情の波や防衛反応に名前をつけ、整理していく
- 信頼できる人と少しずつ安心体験を積む
- 「完璧な関係」ではなく「揺れながら築く関係」を目指す
- カウンセリングや対話の中で、行動の背景を理解する
「人が怖い」と感じていたとしても、その奥には「本当は大切にされたい」という願いが必ず存在しています。
まとめ
混合型愛着スタイルは、つながりたいのに避けてしまう、複雑な心の動きを抱えるタイプです。
その背景には、愛情を求めた結果、傷ついた経験が影響していることが多く見られます。
けれども、混乱や葛藤があるからこそ、自分を深く理解する機会にもなりえます。
そして、少しずつ安心を積み重ねていくことで、「信じても大丈夫」と思える関係は必ず築いていけます。
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